正しいリサーチクエスチョンを作りたい!
けど、作り方とか目安とか、いまいちわからない!
そう思うのは当然です。間違ったリサーチクエスチョンを作ってしまっては、研究が行き詰まってしまいます。
なぜなら、研究には必ず問い(リサーチクエスチョン)があり、自分で設定した疑問に答えることこそ研究だからです。
あらゆる論文は、「リサーチクエスチョン」に対して何らかの答えを導く、という形を取る
また、「リサーチクエスチョンはどうあるべきなのか?」、そのポイントや目安を直接的に教えてくれる教員は、ほとんどいないでしょう。なぜなら、大学教員も教わったことがないからです。
今回は現役大学教員・酒井宏平が、リサーチクエスチョンを作る際に意識すべき4つの目安を紹介します。
この記事を読んで、研究のスタートを切りましょう!
動画でもほぼ同じ内容を視聴できます。
回答可能なリサーチクエスチョンを作る
立てた問いに答えられなければ、研究はできません。つまり、答えられる問いを作る必要があります。
例えば、「インドに留学したブルガリア人高校生は、なぜインドを選んだのか?」という問いを立てたとしましょう。
さて、あなたなら、どうやってこの問いに答えますか?
- インドに留学したブルガリア人高校生の日記を探して、彼ら彼女らがどうしてインドを選んだのかを分析しますか?
- インドに留学したブルガリア人高校生に連絡をとってみて、インタビュー調査をしてみますか?
いずれにせよ、インドに留学したブルガリア人高校生の日記を見つけたり、インドに留学したブルガリア人高校生を見つけることは可能でしょうか?
「インドに留学したブルガリア人高校生」という対象がかなり特殊すぎなので、ほぼ不可能でしょう(もちろん0%ではないですが)。
インドに留学したブルガリア人高校生を見つけられなければ、調査ができませんので、問いに答えることもできません。研究は行き詰まります。
リサーチクエスチョンが、ニッチすぎたり、壮大すぎるたりすると、回答できないので、注意が必要です。
リサーチクエスチョンは回答可能である必要があります。
みんなにとって役立つ問いにする
究極を言えば、研究はみんなのために行われている活動です。みんなにとって役立たなければ、研究とは言えません。
例えば、「なぜ僕は幸せなのだろうか?」という問いは、みんなにとって役立つ問いでしょうか?
あなたにとっては役立つでしょうが、あなた以外の人には役立たないことでしょう。なぜなら、この問いでは、あなただけに適用できる答えしか見つからないからです。
研究の発見は、ある程度一般化される必要があります。研究で発見した答えや理論は、あなただけではなく、おおよその人たちに当てはまる必要があるのです。
リサーチクエスチョンを設定したら、みんなに役立つ問いかどうかを考えてみましょう。
今回の「なぜ僕は幸せなのだろうか?」という問いですが、あなたが大学生なら「なぜ一人暮らしの大学生は幸せなのだろうか?」など、主語を大きめにするのも1つの解決策です。
「なぜ」という疑問にする
僕たちは日々、問題を抱えて、それを解決したいと願っています。
そのため、僕たちが回答を必要とする問いは「どうすれば、解決できるのか?」や「どうすればいいのか?」という疑問になります。
その結果、「どうすれば」という問いを使ったリサーチクエスチョンを設定しがちです。
例えば、「どうすれば、選挙に行く人は増えるのか?」みたいな問いです。
この「どうすれば、問題を解決していい未来が来るのか?」みたいな問いは未来の話をしています。
「どうすれば、選挙に行く人は増えるのか?」という問いなら、「未来に行われる選挙」を対象にした問いなわけです。
一方、研究は過去の出来事や今の出来事を分析して、答えを見つけ出す活動です。研究でわかることは過去や今の出来事です。
そのため、研究では「なぜ」という問いを設定します。例えば、「なぜ、その現象が起きたのか?」「なぜ、その現象が起きているのか?」のような過去や今を問う疑問です。
「どうすれば」を問う前に、「なぜ」を問うようにしましょう。
例えば先ほどの選挙に関する問いの場合、「なぜ、選挙に行かないのか?」という問いになります。
もちろん、「なぜ」だけでなく、「だれ」「いつ」「どうして」が問いになることもあります。
とりあえず作って試行錯誤する
いきなり完璧なリサーチクエスチョンができることは稀です。研究者である僕もそれは無理です。
まずは、とりあえずリサーチクエスチョンを作ってください。
その後、仮説、作業仮説、アンケート調査と深めていく過程で、違和感やおかしな部分が出てきます。リサーチクエスチョンと仮説が合っていなかったり、アンケートの質問項目と仮説が繋がっていなかったりなどです。
そんな時、再度リサーチクエスチョンに戻って、修正してください。
ひたすら試行錯誤あるのみです。場合によっては、調査後や分析後にリサーチクエスチョンを変えることだってあります。
おかしいなと思ったら、何度でもリサーチクエスチョンを修正しましょう。
まとめ
4つの目安を紹介しました。
- 回答可能なリサーチクエスチョンを作る
- みんなにとって役立つ問いにする
- 「なぜ」という疑問にする
- とりあえず作って試行錯誤する
特に、最後の試行錯誤することが非常に重要です。何度も修正していく中で、よいリサーチクエスチョンになっていきますので、安心してください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
リサーチクエスチョンを設定したら、次は仮説を作りましょう!
仮説についての以下の記事を読んでね!